日鋼記念指定居宅介護支援事業所ご相談事例

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当事業所に寄せられたご相談の一例を紹介します。ケアプランを作って終わりではなく、プランを実践して感じたこと・不具合などを伺いその人らしい生活を目指して支援しています。



【目次】
事例1.歩行器とか借りられますか​
事例2.病気になる前の状態に少しでも近づいて、大好きな料理を作りたい。
事例3.高齢者の骨折 本人の気持ち・家族の気持ち​
事例4.乳がん術後 病院にいくのが大変で、自宅に来てくれますか?​
事例5.私、入院することに...お父さんのことどうしたらいい?​


事例1. 歩行器とか借りられますか?


長男夫婦と同居している男性【介護保険:要介護1】。お嫁さんから相談です。
足の手術をして1か月くらい前に退院しました。
退院するときは大丈夫でしたが、最近、足の運びがわるくトイレまで行くことが大変になってきました。
自宅訪問してみると、トイレだけではなく、布団からの起き上がり等、日常的にひとりで動くことが大変で、同居のお嫁さんが介護している状況。
ご本人いわく「足腰弱くなってね…」とのことでした。

対応

お体の状況にあった環境整備が必要と判断

  • 主治医へお伝えし指示を頂き、訪問リハビリ調整
  • レンタル業者へ相談。理学療法士・レンタル業者と訪問。ご本人の実際の動きを理学療法士から専門的なアドバイスを頂き、歩行器レンタル開始、トイレ内に手すりをつけた
  • ベッド(要介護1でレンタルできる木製タイプ゙)・ベッド横に手すりを設置
  • 定期的に訪問リハビリを受ける

その結果、目標であった近くの公園を散歩できるようになりました。
その後、訪問リハビリを卒業。デイケアへ元気に通い、最近では、娘さんの車で買い物外出もできるようになっています。

※理学療法士…リハビリの先生

事例2.病気になる前の状態に少しでも近づいて、大好きな料理を作りたい。

ご主人とお二人で暮らし家事をこなしてきた奥様が、脳梗塞を発症し後遺症で右半身麻痺がある状態となりました。
病気になる前の状態に少しでも近づいて、好きだった料理を作るなんて無理なんでしょうか、とご相談を頂きました。

対応

身体の機能の回復と生活環境の整備

・通所リハビリ

身体機能の維持・向上を目的に、リハビリ専門職にプログラムを立ててもらい継続的にリハビリを行うことにしました。
また、家事に参加できるよう家の環境や、片手が使わずに行う生活の工夫についても相談にのってもらえるようにしました。

・訪問介護
家事全般をお願いするのではなく、ヘルパーと一緒に台所に立ち、出来ないところを支援してもらいながら、好きな料理を…まずは簡単なメニューからチャレンジする!

・その他 環境整備
福祉用具
ベッドサイドに手すりをレンタル
住宅改修
トイレに手すりを設置

上記を組み合わせての日々の実践から毎月の身体状態を評価し、本人の意向に沿いながら必要なサービス調整を行っています。

事例3.高齢者の骨折
  (本人)早くおうちに帰りたい⇔(家族) 自宅で生活できるか不安

長男・長男のお嫁さんと3人暮らしでしたが骨折で入院され、リハビリ目的で施設入所した後、自宅退院することになった高齢の患者さんとご家族のケースです。
ご本人は「早く家に帰りたい。」と希望していますが、ご家族は「半年間入院・入所していたので、以前のように生活できるか」と心配されていました。

対応

安全な自宅環境を整える

入所先の職員からの情報収集では「入院前よりも体の動きに衰えがある」と報告があり、ご本人の外泊に合わせ施設相談員・リハビリ専門職、福祉用具貸与事業所と共にご自宅訪問し、ご家族の立会いのもと居住環境を確認しました。
【自宅での主な確認ポイントと提案の流れ】
・移動動作の確認(例)玄関から車、自宅に入るまで、居間・寝室・トイレ等、入浴
・動作困難な場所に合わせて手すりなどの福祉用具のレンタルを検討・提案。
・浴槽の出入りが困難なため通所サービスを利用しての入浴を検討。

その他、ご家族の支援なども含めて検討し、施設の退所にあわせて通所サービスの利用を調整しました。
その後も、ご本人の状態やご家族の様子を確認しながらサービス内容を調整しています。

事例4.乳がん術後 病院にいくのが大変で、自宅に来てくれますか?​

乳がんの手術で退院後はベッドでほとんど寝て過ごしており、お風呂にもしばらく入れず、同居の次女さんの支援で生活されていたようです。
先日、やっとの思いで病院へ行ったが「もう、次は病院へ行けない」と同居次女さんから相談。

対応

定期的な病状管理、入浴支援や生活環境の整備が必要と判断

・訪問診療
主治医へ相談、家庭医へ紹介。訪問看護へ指示頂く。
月2回、自宅で医師の診察を受けることができるようになった。

・訪問看護
病状管理、皮膚状態の確認、療養上への相談・アドバイス、緊急時対応
初回訪問の際、お尻が赤くなっており、訪問看護から医師報告、指示対応。

・訪問入浴
ご本人 「気持ち良いです」と笑顔。
次女さん「しばらくぶりでお風呂入りました、良かった。」
定期的に自宅で安心して入浴できるようになった。

・福祉用具  ポータブルトイレ購入、少しの介助で排泄ができるようになった。
電動ベッドレンタル開始。床ずれ予防と介護者の夜間安眠のため体位変換マットを導入。
ご本人・次女さんとも夜間ゆっくり寝られるようになり、ご本人のお尻の赤みも改善。

いつでも相談できる体制が整い、過ごしやすい環境が整備されたことで、ご本人・次女さんとも安心され生活されている。

事例5.介護者の入院​

認知症、要介護2の認定のご主人を奥様が介護されていたケースです。
二人暮らしで、認知症型デイサービス週3回のみ利用し生活していましたが、奥様が急きょ、検査入院が必要となりご主人の介護を頼める方が誰もおらず、慌てた様子で相談がありました。

対応

妻不在時に安心して過ごせる場所の調整が必要と判断。

妻が希望するショートステイ施設は満床で空きがない。妻「どこでも良いのでお願いします」と話し、方々のショートステイ施設へ電話連絡し空き状況を確認。
3日後からであれば利用可能な施設がひとつ見つかり、妻の入院病院の外来・ショートステイ施設と連絡調整。
妻へ承諾を得て、担当ケアマネジャーから①主治医:施設宛ての診療情報を依頼②ショートステイ施設:認知症状の程度や支援時の留意点など文書で情報提供。
翌日、担当者会議開催を調整。ショートステイ先の職員と顔合わせができ、ご本人・妻とも安心した様子があった。

無事、2日後からショートステイ利用開始、奥様は安心して検査入院することができました。
奥様の退院後、自宅訪問したところ「これからは、ひとりで頑張らず、時々、ショートステイ利用します」と話されました。